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ヘルター・スケルターの妄想

27 7月

先日、ブルボンヌさん、ドリュー・バリネコさんらと「ヘルター・スケルター」鑑賞に行ってきました。すごく笑える良い作品でした。蜷川監督ってヲカマっぽい気がします。ちゃんと寺島先生やら桃井先生の使い方を心得てらっしゃる。寺島先生の「わたしもオッパイ出したい!」という女優魂もスルーされてたし、あの泣き顔最高でした。ヲカマしか笑っていなかったので、ヲカマ感覚ってやっぱり必要よって思いました。

(ネタバレは以下よりドバドバ…)

で、鑑賞後にどうも腑に落ちない感覚が捨て切れません。ようやく何に引っかかっているのか分かりました。「本来、表現すべきラストのカタルシスが得られなかった」からです。どうして得られなかったんだろう??ブルボンヌが言いました。「ラスト付近の片目を潰すのは、原作では、あんな記者会見で見せたりしてないのよ。現代風にアレンジしたのね。」と。それで、カタルシスに至る為の手順が欠けているんだなという結論に至りました。ここからは、私が作るならこうするわ!という妄想です。

カタルシスを得る道筋

1:表面の美だけの人間リリコとそれをとりまく俗悪な人間模様を描く。(ここはそのままでOK)

2:生まれながらの美を持つライバル登場。彼女はすでに絶望していて無常観を会得している。(ここもそのままでOK)

3:美にほころびが出来て、アザに包まれていくリリコ。化粧一枚で嘘の美に包まれる。まわりの人間関係も変質する。(少し、ここから掘り下げる演出。)

4:リリコを裏切る人間と守ろうとする守護者に分かれる。まわりの人々の本質がむき出しに。リリコは美の本質に気がついていく。(本質に気がつくのが重要。)

5:リリコは姿を消す。ライバルの娘が導かれるように地下へ。そこには新しい美に包まれたより強く輝くリリコが居る。(このへんの描き方が映画はヘタ。)

問題は、4と5である。親切な人が裏切り、冷たいかのような人が守護者になるという変化は明確にした方が良い。本質に迫るリリコの伏線になる。リリコがアザに包まれるシーンは重要。化粧でごまかせる美を捨てるラストをもっと強調すべき。ラストのリリコはもっとアザが進行して顔半分はアザの方が良い。烙印まみれのオンナが、見せかけの美を超越し、自らが美の化身を体現しなければ。そして、その為には、記者会見のような人が観ている場所での「浅はかな自傷行為ショー」はしてはならない。ここはあくまでも「真の美への開眼」を表現しなければならない。目を潰して、美を得る為の儀式でしか無いのだから、ここで映像のカタルシスを演出しないほうが良い。大勢の前ではなく、一人ぼっちの儀式をすべきである。で姿を消したリリコを発見するのは、ライバルの娘で正解だが、彼女がたどり着いた地下室での演出こそ弱すぎる。ここは、無常観を会得している天然の美の娘が、新しい美のカリスマリリコを、崇拝する最初のシーンでなければ意味が通じない。ただ地下室に降りて「あら」と見つけるだけの演出ではなく、リリコを見つけた瞬間にかすかに微笑み、「私よりも、また先を行くリリコ」との連帯感を得たほうが良い。それにはライバルの娘は「意味深に」微笑むべきだ。

美の本質をリリコが知るには、妹の整形変化を少し早く見せてあげるべき。その姿は自身の客観視に繋がる。アザに包まれたリリコは本当に美しい。美の本質を揺るがすシーンだと思う。何が美しいのかというテーマはここでフルスロットル掛けるべき。セックス描写はもっと醜く無様に描くべき。男優はケツは出せ。寺島先生も、見せかけの美の終着点として「老いてきているオッパイ」は見せるべき。

過剰な美の演出は、蜷川監督の真髄だけれど、ラストのカタルシスが足りないのは、その配分を間違ったからで、映像だけカタルシスの感を残してしまった。途中までうまくいっていたのに最後は若さ故か、微妙なさじ加減を疎かにした。エリカ様は、この映画のために産まれて、スキャンダルにまみれ、疎外された役者になったような気がするくらい、生き方が役にあっていた。この過剰な監督と疎外感のある女優が、この時期に出会い、この映画を作ったのは運命的でもある。一部を除き、素晴らしい映画だと思います。

ブルボンヌさんが、いろんな出来事の後に、辿りつくのが、二丁目的な場所っていうのも面白いわね。と言っていた。うん、確かにそうだわ。

追伸:映画「教室」のアザシーンなど、かなり共通点があるお話でした。美や老いをテーマにすると、そこは皆描くのよね。「教室」では、演出のさじ加減を間違わないようにしたいなと思いました。原作の「ヘルター・スケルター」読まなきゃなとも思いました。原作ってパワー有るのね。きっと。

 
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投稿者: : 2012年7月27日 投稿先 映画レビュー

 

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